さいたま市大宮区の「堀の内整形外科内科クリニック」です。
スポーツに打ち込む皆さまにとって、最も身近な怪我の一つが足関節捻挫(そくかんせつねんざ)、いわゆる「足首のねんざ」ではないでしょうか。
バスケットボール、サッカー、バレーボールなどのジャンプや方向転換が多い競技では、特に高い頻度で発生します。
しかし、「ただのねんざだから」と軽視して不適切な処置で復帰を急ぐと、痛みが慢性化したり、関節の不安定性が残ったりして、その後の競技人生に大きな影響を及ぼしかねません。
本ブログでは、スポーツ障害として特に重要な足関節捻挫について、そのメカニズムから正しい診断、そして早期競技復帰のためのリハビリテーションまでを、整形外科の専門的な視点から詳しく解説します。
1. 足関節捻挫のメカニズムと重症度
📌 足関節捻挫のほとんどは「内反捻挫」
足関節捻挫の約80~90%は、足首を内側にひねってしまう「内反捻挫」です。
内反捻挫では、足関節の外側にある《 靭帯 》が引き伸ばされたり、断裂したりします。特に損傷を受けやすいのは、以下の3つの靭帯です。
- 前距腓靭帯(ぜんきょひじんたい):最も損傷しやすい靭帯です。
- 踵腓靭帯(しょうひじんたい)
- 後距腓靭帯(こうきょひじんたい)
🤕 重症度(グレード)分類
足関節捻挫は、損傷した靭帯の状態によって重症度が3段階に分けられます。
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グレード |
損傷の状態 |
症状の特徴 |
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I度(軽度) |
靭帯の微細な損傷・引き伸ばし |
軽度の痛みと腫れ。歩行は可能。 |
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II度(中等度) |
靭帯の部分断裂 |
中等度の痛み、腫れ、皮下出血。歩行が困難になる。 |
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III度(重度) |
靭帯の完全断裂 |
激しい痛みと強い腫れ。関節がグラグラする不安定性が生じ、自力での歩行はほぼ不可能。 |
2. 🚨 ただの捻挫と決めつけない!骨折の合併・除外の重要性
「足首をひねった=捻挫」と思い込みがちですが、スポーツ整形外科の現場では、捻挫だと思って来院したら実は骨折を伴っていたというケースが少なくありません。
🦴 捻挫で起こりやすい骨折
強い外力がかかった際、靭帯の損傷だけでなく、以下の骨折を合併することがあります。
1.剥離骨折(はくりこっせつ):靭帯が付着している骨の一部が、靭帯に引っ張られて剥がれてしまう骨折。特に第五中足骨基部(第5中足骨の根元)や、腓骨(ひこつ:外くるぶしの骨)の先端に起こりやすいです。
2.腓骨遠位端骨折(ひこつえんいたんこっせつ):足首の外くるぶし(腓骨)の先端部分が折れる骨折。
3.内果骨折(ないかこっせつ):足首の内くるぶし(脛骨の先端)が折れる骨折。
🚨 骨折を見逃さないための判断基準
当院では、以下の症状が見られる場合は、捻挫と診断する前に必ずレントゲン検査を行い、骨折がないことを確認します。
- 特定の骨部位(外くるぶし、内くるぶしなど)を押した際に、強い圧痛がある
- 受傷直後から、体重をかけることが全くできない
- 皮下出血や腫れが極めて強い
ご自身や指導者の方が安易に「ねんざだ」と判断せず、必ず専門医の診察と画像診断を受けることが、適切な治療と後遺症予防のために不可欠です。
3. 治療の原則と早期復帰への道筋
🧊 急性期の処置:RICE処置の徹底
受傷直後から2~3日間は、炎症と痛みを抑えるためにRICE処置を徹底します。
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RICE |
意味 |
目的 |
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Rest |
安静 |
患部の動きを止め、損傷の悪化を防ぐ。 |
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Icing |
冷却(アイシング) |
血管を収縮させ、腫れや内出血を抑える。 |
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Compression |
圧迫 |
腫れを最小限に抑える(弾性包帯など)。 |
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Elevation |
挙上 |
患部を心臓より高く上げ、血流を減らして腫れを軽減する。 |
🛠️ 専門的な治療とリハビリテーション
骨折がないことが確認できたら、重症度に応じて以下のような治療を進めます。
1. 固定と安静
- 軽度(I度): テーピングやサポーターによる軽い固定を行い、痛みのない範囲で早期に運動を開始します。
- 中等度~重度(II度・III度): ギプス副子(シーネ)や硬性のサポーターなどで足関節を固定し、松葉杖を使用して患部への体重負荷を避けます。固定期間は2~4週間程度が目安です。
2. リハビリテーション(機能回復訓練)
固定が終わり、痛みが落ち着いてきたら、早期の競技復帰と再発予防のために専門的なリハビリを開始します。これが、「ただの捻挫」を「競技復帰できる足」に変える最も重要なプロセスです。
- 可動域訓練: 硬くなった足関節の動きを徐々に回復させます。
- 筋力強化訓練: 足関節周囲の筋肉(特に腓骨筋など)を強化し、関節を支える力を高めます。
- 固有受容覚(バランス感覚)訓練: 捻挫を繰り返す最大の原因は、足関節の不安定性やバランス感覚の低下です。片足立ち、不安定な台の上でのバランス訓練などを徹底的に行い、足首が再び捻挫しにくい状態を作り上げます。
🔄 繰り返す捻挫にご注意ください
一度足関節捻挫を経験すると、関節の靭帯が緩んだ状態(不安定性)が残りやすくなり、捻挫を繰り返す「反復性足関節捻挫」に移行することがあります。
反復性の捻挫は、やがて関節軟骨の損傷(変形性足関節症)につながるリスクを高めます。
当院では、単に痛みを抑えるだけでなく、再発を徹底的に防ぐことを目的としたリハビリテーションを提供し、皆さまの安心で万全な競技復帰をサポートいたします。
4. まとめ:足首のねんざは整形外科へ
足関節捻挫は、スポーツ選手にとって避けて通れない怪我かもしれませんが、その初期対応と適切な治療が、その後の未来を左右します。
「足首をひねったけれど、歩けるから大丈夫」と自己判断せず、必ず整形外科を受診し、骨折の有無を確認した上で、専門的な治療とリハビリテーションを開始してください。
堀の内整形外科内科クリニックは、地域のスポーツを愛する皆さまが、安心して競技に復帰できるよう、全力でサポートいたします。
足関節捻挫の痛みや不安定性でお困りの際は、いつでもご相談ください。

